2009/07/10

その夏のできごと


バラス島って知ってる?
真っ青な海にぽつんて浮かんだ真っ白な綿菓子みたいなとこ。
西表島(いりおもてじま)っていう沖縄の八重山諸島にある島にあるサンゴの殻でできた小さな島で、ワタシは中学の時に叔父さんに連れていってもらったの。「ニッポンのガラパゴスって言われてるんだぞ」なんて叔父さんが「自慢?」してたのがおかしかった。石垣島から船で行くんだけど、その船がものすごいスピードで、びっくりしたことおぼえてる。



本土とは違って「熱帯雨林気候」で、島のいろんなところにマングローブの林があるのね。日本のマングローブは全部で7種類あって、ぜんぶそろっているのは西表島だけなんだって…。それと、樹ぜんぶが根っこでできているみたいなサキシマスオウノキも。ロビンソン小屋っていうのをやっている叔父さんの友だち↓がカヌーで案内してくれたときに教えてもらった樹齢400年で20mもあるサキシマスオウノキ↓にはほんとーに驚いちゃった。板の根、って書いて「ばんこん」って読むらしいけど、字のまんまなのがオカシイ。





http://homepage3.nifty.com/robinsongoya/
↑ロビンソンは島のことなんでも知っていて、いろんなところに案内してくれたけど、いちばん印象に残っているのが「バラス島」。クーラーボックスにたっぷり飲み物入れて、ロビンソン自慢のランチも持って、船で行ったんだけど…真っ白に見えたのは、ぜんぶサンゴの殻で、潮の流れの関係で集まって島みたいになったんだって、ロビンソン。満ち潮の時は海に沈んじゃうんだって笑ってた。はだしだと足が痛くて歩けないくらい、サンゴの殻ってゴツゴツしてるんだよ。ちょっと潜るとサンゴ礁だから、魚がたくさんいてアセッタ(・_・;)樹とかまったくないから海から上がると暑くて暑くて、ロビンソンが船から出してくれたおっきなパラソルが天国だった。



そのパラソルの下で叔父さんが、「なみ、樹があったらうれしいって思うだろ」って笑ったの。「砂漠って、このバラス島みたいなもんだよな」って。そのときからかな…いつか叔父さんみたいにこのバラス島みたいに美しいけど一本の樹も緑もないところに、小さな木かげができたり、横になって休める草のある場所ができたら、どんなにステキだろうって考えるようになったのは…



西表島から帰って、少したったころ叔父さんが一冊の絵本とビデオを持ってきてくれたのね。絵本は「地球の秘密」↓



坪田あいかちゃんていう小学6年生の女の子が、アース君ていうキャラクターが出てくる環境問題を描いてるんだ…。あいかちゃんは、絵本を描いてすぐに亡くなったんだって。ホームページにはこんなことが描いてあります。
http://www.aikaeye.com/earth.htm



ビデオは、1992年にブラジルのリオ・デ・ジャネイロで開かれた国連の地球環境サミットで、12歳の女の子が6分間のスピーチをしたときの記録。「Rio de Janeiroの伝説のスピーチ」って呼ばれているんだって。


セヴァン・スズキっていう人で12歳なんだよ!左から2番目↑の人がその少女です。このスピーチを日本の「ナマケモノ倶楽部」というところが翻訳してくれているので、長いけどここに引用しておきます。

「 こんにちは、セヴァン・スズキです。エコを代表してお話しします。エコというのは、子供環境運動(エンヴァイロンメンタル・チルドレンズ・オーガニゼェーション)の略です。カナダの12歳から13歳の子どもたちの集まりで、今の世界を変えるためにがんばっています。あなたがた大人たちにも、ぜひ生き方をかえていただくようお願いするために、自分たちで費用をためて、カナダからブラジルまで1万キロの旅をして来ました。

 今日の私の話には、ウラもオモテもありません。なぜって、私が環境運動をしているのは、私自身の未来のため。自分の未来を失うことは、選挙で負けたり、株で損したりするのとはわけがちがうんですから。

 私がここに立って話をしているのは、未来に生きる子どもたちのためです。世界中の飢えに苦しむ子どもたちのためです。そして、もう行くところもなく、死に絶えようとしている無数の動物たちのためです。

 太陽のもとにでるのが、私はこわい。オゾン層に穴があいたから。呼吸をすることさえこわい。空気にどんな毒が入っているかもしれないから。父とよくバンクーバーで釣りをしたものです。数年前に、体中ガンでおかされた魚に出会うまで。そして今、動物や植物たちが毎日のように絶滅していくのを、私たちは耳にします。それらは、もう永遠にもどってはこないんです。

 私の世代には、夢があります。いつか野生の動物たちの群れや、たくさんの鳥や蝶が舞うジャングルを見ることです。でも、私の子どもたちの世代は、もうそんな夢をもつこともできなくなるのではないか?あなたがたは、私ぐらいのとしの時に、そんなことを心配したことがありますか。

 こんな大変なことが、ものすごいいきおいで起こっているのに、私たち人間ときたら、まるでまだまだ余裕があるようなのんきな顔をしています。まだ子どもの私には、この危機を救うのに何をしたらいいのかはっきりわかりません。でも、あなたがた大人にも知ってほしいんです。あなたがたもよい解決法なんてもっていないっていうことを。オゾン層にあいた穴をどうやってふさぐのか、あなたは知らないでしょう

 死んだ川にどうやってサケを呼びもどすのか、あなたは知らないでしょう。絶滅した動物をどうやって生きかえらせるのか、あなたは知らないでしょう。そして、今や砂漠となってしまった場所にどうやって森をよみがえらせるのかあなたは知らないでしょう。

 どうやって直すのかわからないものを、こわしつづけるのはもうやめてください。

 ここでは、あなたがたは政府とか企業とか団体とかの代表でしょう。あるいは、報道関係者か政治家かもしれない。でもほんとうは、あなたがたもだれかの母親であり、父親であり、姉妹であり、兄弟であり、おばであり、おじなんです。そしてあなたがたのだれもが、だれかの子どもなんです。

 私はまだ子どもですが、ここにいる私たちみんなが同じ大きな家族の一員であることを知っています。そうです50億以上の人間からなる大家族。いいえ、実は3千万種類の生物からなる大家族です。国境や各国の政府がどんなに私たちを分けへだてようとしても、このことは変えようがありません。私は子どもですが、みんながこの大家族の一員であり、ひとつの目標に向けて心をひとつにして行動しなければならないことを知っています。私は怒っています。でも、自分を見失ってはいません。私は恐い。でも、自分の気持ちを世界中に伝えることを、私は恐れません。

 私の国でのむだ使いはたいへんなものです。買っては捨て、また買っては捨てています。それでも物を浪費しつづける北の国々は、南の国々と富を分かちあおうとはしません。物がありあまっているのに、私たちは自分の富を、そのほんの少しでも手ばなすのがこわいんです。

 カナダの私たちは十分な食物と水と住まいを持つめぐまれた生活をしています。時計、自転車、コンピューター、テレビ、私たちの持っているものを数えあげたら何日もかかることでしょう。

 2日前ここブラジルで、家のないストリートチルドレンと出会い、私たちはショックを受けました。ひとりの子どもが私たちにこう言いました。

 「ぼくが金持ちだったらなぁ。もしそうなら、家のない子すべてに、食べ物と、着る物と、薬と、住む場所と、やさしさと愛情をあげるのに。」

 家もなにもないひとりの子どもが、分かちあうことを考えているというのに、すべてを持っている私たちがこんなに欲が深いのは、いったいどうしてなんでしょう。

 これらのめぐまれない子どもたちが、私と同じぐらいの年だということが、私の頭をはなれません。どこに生れついたかによって、こんなにも人生がちがってしまう。私がリオの貧民窟に住む子どものひとりだったかもしれないんです。ソマリアの飢えた子どもだったかも、中東の戦争で犠牲になるか、インドでこじきをしてたかもしれないんです。

 もし戦争のために使われているお金をぜんぶ、貧しさと環境問題を解決するために使えばこの地球はすばらしい星になるでしょう。私はまだ子どもだけどこのことを知っています。

 学校で、いや、幼稚園でさえ、あなたがた大人は私たちに、世のなかでどうふるまうかを教えてくれます。たとえば、

* 争いをしないこと
* 話しあいで解決すること
* 他人を尊重すること
* ちらかしたら自分でかたずけること
* ほかの生き物をむやみに傷つけないこと
* 分かちあうこと
* そして欲ばらないこと

 ならばなぜ、あなたがたは、私たちにするなということをしているんですか。

 なぜあなたがたがこうした会議に出席しているのか、どうか忘れないでください。そしていったい誰のためにやっているのか。それはあなたがたの子ども、つまり私たちのためです。あなたがたはこうした会議で、私たちがどんな世界に育ち生きていくのかを決めているんです。

 親たちはよく「だいじょうぶ。すべてうまくいくよ」といって子供たちをなぐさめるものです。あるいは、「できるだけのことはしてるから」とか、「この世の終わりじゃあるまいし」とか。しかし大人たちはもうこんななぐさめの言葉さえ使うことができなくなっているようです。おききしますが、私たち子どもの未来を真剣に考えたことがありますか。

 父はいつも私に不言実行、つまり、なにをいうかではなく、なにをするかでその人の値うちが決まる、といいます。しかしあなたがた大人がやっていることのせいで、私たちは泣いています。あなたがたはいつも私たちを愛しているといいます。しかし、私はいわせてもらいたい。もしそのことばが本当なら、どうか、本当だということを行動でしめしてください。

 最後まで私の話をきいてくださってありがとうございました」

ね、ワタシがどうして感動しちゃったか、わかるよね。叔父さんがビデオを見せてくれたとき、ワタシは13歳。ワタシより年下の女の子がって思ったら、なんかものすごく元気もらったみたいで興奮しちゃった。ビデオを見たい人は↓
http://www.youtube.com/watch?v=C2g473JWAEg
そのあとで「絵本」にもなったよ↓



タイトルは「あなたが世界を変える日」。ワタシもいつか世界を変えられたら、って思います。そういえば彼女がスピーチしたリオ・サミットって、このごろよく聞く地球サミット(the Earth Summit、国連地球サミット)の第1回目だったんだよね。

1 件のコメント:

  1. バラス島、あの美しい島も、
    このまま地球温暖化が進めば
    見ることが出来なくなってしまうかもしれませんね、、、

    返信削除